オレのフィリップスくん

    生家の隣りが駄菓子屋さんだったので僕はほぼ毎日、そのお店に何かしら駄菓子なんかを買いに行ってた。

   僕はいつもライオンの顔をデザインした円形の財布を首からぶら下げてもらい、その中に常に百円ほどのお金をオカンに入れてもらい、毎日隣の駄菓子屋にお買い物に行ってた。が、あまりにも毎日いくのである日、オカンが隣の駄菓子屋のおばちゃんに「Nちゃんが来ても、もう売らんといてくてはる?」とそこのおばちゃんにお願いしたらしい。そんな裏工作がなされていたとは知る由もなく、その日も僕は隣の駄菓子屋にウキウキと買い物に行った。

そしたら、駄菓子屋のおばちゃんが言うのには「ごめんな。もうNちゃんにはお菓子、売られへんねん。」と。それを聞いて僕は「いいですよ。もう買いませんっ。」と捨て台詞を吐いて帰って来たそうな。もちろん、次の日もそんな事は忘れて買いに行ったと思うけど。

    また、ある時はちょっとした事件もあったようで、ある日、オカンが財布にお金がいくら入ってるか確かめようとしてライオンのチャックを開けて中を確認したら、まだ十分入ってるはずのお金が無くなっていたらしく、僕にどうしたのか聞くと「知らんお兄ちゃんが、ええ財布持ってるなあ。ちょっと見せてくれるか?」と言ったので僕は財布を渡して見せたらしい。おそらくその時に、その男は中のお金をくすねたようだ。

子供の小遣いくすねるなんて!なにすんねん!アホっ!

まあ、僕にとっては世間との繋がりが出来て、いろんな事経験できたひとつの社交場みたいなもんでした。

    このふたつのエピソードは自分の記憶にはないけど、ひとつの忘れようとて思い出せない(吉本芸人のギャグ)、今思い出しても釈然としない、いやメッチャムカつく出来事がこの社交場であったのだ。

それはまた次回。なんで?